質の良い睡眠で傷ついた細胞を修復~老化をストップして若々しい肌作りを!
肌は秋に年をとる? この季節こそ睡眠で細胞活性!
~肌のコンディションを整えて美肌づくりをサポート 肌は秋に年をとると言われるように、夏の猛暑や強い紫外線、冷房による乾燥で、秋の肌はダメージが蓄積されています。気温の寒暖差もあり、自律神経の働きが低下してホルモンバランスも乱れがち。空気も乾燥し始めるので、肌のコンディションが気になる方も多いと思います。
スキンケアも大切ですが、しっかり睡眠はとれていますか? 日中のストレスや刺激で傷ついた37兆個の細胞は、睡眠中に修復されます。今回は「睡眠」がどのように細胞活性をサポートし、美肌がつくられるのか、眠りの専門家、快眠セラピストの三橋美穂さんに“美容と睡眠”について教えていただきました。 睡眠中に分泌される「成長ホルモン」が美肌のカギ。
「深い睡眠」で細胞のダメージを修復し、肌の水分を保つ効果も! 夜眠っているときに分泌されるホルモンの一つに「成長ホルモン」があります。成長ホルモンは、その名の通り、成長期に骨や筋肉などの成長を促すホルモンです。また、皮膚細胞の分裂、再生を促進して細胞のダメージを修復し、皮下組織の水分を保つ働きがあり、美肌にとっても欠かせません。しかし成長ホルモンは年齢とともに分泌が減っていくため、質の良い睡眠をとることで可能な限り分泌を高めることが大切なのです。
以前は22時~午前2時が「肌のゴールデンタイム」と呼ばれ、この時間帯に寝ていると成長ホルモンがしっかり分泌されると言われていました。実はこれ、どこからともなく発生した都市伝説。医学的な根拠はありません。
成長ホルモンの分泌は時間帯で決まっているのではなく、深い睡眠がとれると分泌量が増えることがわかっています。健康な睡眠の場合、最も深い睡眠は入眠直後に現れ、寝始めの約3時間の深い睡眠の間に、まとまって分泌します。
深い睡眠がとれているかどうか正確に知る方法はありませんが、ポイントとなるのは寝つきのよさです。ベッドに入って20分以内に眠れれば、深い睡眠はとれているといえるでしょう。(飲酒時を除く)

成長ホルモンが体内を巡る「時間」も大切なポイント。7~8時間を目安にたっぷり眠りましょう。 深い睡眠がとれていれば、睡眠時間を短くしてもいいと考える人も多いのですが、決して3時間ですむわけではありません。分泌された成長ホルモンが体内を巡る時間も必要だからです。最適な睡眠時間は個人差がありますし、年齢によっても変化しますが、7~8時間が目安です。
イギリスで行われた実験では、8時間睡眠をとった後に、5日間6時間睡眠を続けたところ、シワの数は平均45%、シミの数は13%増えたといいます。本当のショートスリーパーは人口の0.5%程度と言われており、日中に眠気や倦怠感があったり、休日の睡眠時間が増えるようなら、明らかに睡眠不足です。
自分の最適睡眠時間を知るには、1週間ごとに睡眠時間を変えて、肌のコンディションや日中の体調との関係を記録してみましょう。1週目は8時間、2週目は7.5時間、3週目は7時間と、30分単位で変えてみてください。このとき、起床時刻はできるだけ揃えて、体内時計の乱れが睡眠に影響しないよう心掛けてください。 深い睡眠を促す「睡眠ホルモン」のアンチエイジング効果で細胞を活性化、肌にハリやツヤを。 成長ホルモンを分泌する深い睡眠を促す一つは、睡眠ホルモン「メラトニン」が十分に分泌されることです。メラトニンはアンチエイジングホルモンとも呼ばれ、強力な抗酸化作用があり、活性酸素を除去して細胞を活性化、肌の老化を遅らせる働きがあります。
さらにメラトニンは、神経伝達物質のセロトニンが原料になっています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、女性ホルモンのバランスが安定し、肌にハリやツヤを与える効果があります。
セロトニンは太陽光を浴びると活性化します。気持ちが明るくなったり、やる気が高まって、日中をイキイキと過ごすことができます。そしてセロトニンは、夜暗くなるとメラトニンに変わるという仕組みになっています。つまり太陽光は、昼の活力と夜の熟睡の素。海水浴に行った日にぐっすり眠れるのは、体の疲れだけでなく、太陽光の恩恵によるものです。
夕方以降は部屋の照明を夕日のようなオレンジ色に切り替え、就寝に向かって照度を落としていきましょう。そして睡眠中の照明はすべて切ると、メラトニン分泌は高まります。豆電球程度の明るさでも睡眠が浅くなるので、気をつけてください。 質の良い睡眠で細胞活性するための6つのポイント ①毎朝決まった時間に起きて、太陽光を浴びる 朝、決まった時間に起きて太陽の光が目に入ると体内時計が調整され、そこから約15~16時間後から眠気が高まってきます。夜間メラトニンの分泌量を増やすために、午前中に30分以上明るい光を浴びておきましょう。

②夕方に軽い運動をする ウォーキングなどの軽い運動をすることで、セロトニンの分泌が促されます。夕方に運動をすると体温も上昇し、それが下がっていくときに眠気が強くなって、スムーズに寝つくことができます。

③夕方以降にうたた寝しない 帰宅途中の電車や、夕食後にうたた寝をすると、眠気の素となる睡眠物質が減ってしまうので、夜間の睡眠が浅くなり成長ホルモンも減ってしまいます。就寝前8時間は寝ないようにしましょう。 ④就寝1~2時間前に入浴をする 38~40℃のぬるめの湯に15分程度浸かって、体温を少し上げましょう。その後体温が急激に下がるタイミングで就寝すると、ぐっすり眠れます。冬は湯冷めをしないよう、ソックスやレッグウォーマーで足下を保温しましょう。

⑤寝床スマホはNG スマートフォンのブルーライトはメラトニン分泌を抑制します。寝床スマホをしている人は、睡眠の質が半分に低下し、翌日の眠気は3倍以上高いという報告もあります。寝床スマホは避け、ベッドは眠りに集中する場にしましょう。 ⑥体にあった寝具を使う 肌に必要な酸素や栄養は、血液によって体のすみずみまで運ばれます。筋肉に余分な力が入らないように、体に合ったマットレスと枕を使いましょう。枕が高いと気道が狭くなり、呼吸が浅くなります。首にシワも入りやすいので、気をつけて。 体の内側からの美肌づくりに、今日から「睡眠美容」をはじめましょう! みなさんの睡眠習慣はいかがでしたか?
眠っている間に細胞を修復し、体の内側から美肌を育んでいます。そして、外側からのスキンケアの効果も高めてくれるのが睡眠です。睡眠は、瞳の輝きや食欲の抑制、心の美しさにもつながっていて、誰にでも平等に毎日与えられている至福の時間。幸福感を左右するもっとも重要な要素は、「所得」よりも「十分な睡眠」という報告があるほどです。
明日のキレイと幸せのために、今日から「睡眠美容」をはじめてみませんか?
教えてくれたのは
三橋美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな合う枕がわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)はシリーズ累計115万部を突破。監修・開発した『“日本人の頭の形”に最もフィットした「極」快眠まくら』(主婦と生活社)も好評。わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。https://sleepeace.com/
